シャッター通りの続く商店街。
人通りのまばらな街。
空きテナントしかない廃墟のようなビル群。
埋め尽くすカラフルなスナックの看板。
物悲しい街並みに、栄枯盛衰の時の流れを感じる。
すこしづつ衰退をたどる、室蘭の街を歩いた。
・本記事は、2018年6月に訪れた情報を元に作成しています
北海道のレトロスポット
北海道を車で旅していた私は、2週間の旅の最後に室蘭を訪れることを決めた。
主目的はランプ城だったが、室蘭駅周辺にも昭和を感じるエリアがあると知り、訪れてみたい場所だった。
私は車を室蘭駅の大駐車場に止め、歩いて5分ほど中央町にある商店街に入った。
ゴーストタウンのような室蘭の街並み
寂しい風が吹き抜ける大通り。
誰も居ないゴーストタウンのように見えるが、実際は車も人もまばらに通り抜ける。
シャッター通りとはいえ全てのお店が閉店している訳ではない。
時計店やお菓子屋八百屋など、経営しているお店もある。
しかし少し進むと、ビル全体が廃墟のようになっている区画が多く見れた。
解体をする資金も人も無いのだろう。
ぎんやデパート
中央町にある、ぎんやデパート。
ここもビル全てが空きテナントになっている。
ここに住む人々は、中央町の繁華街へ行く事を『室蘭に行く』と表現していた。室蘭に住んでいるのに、だ。
それほどに、華やかで特別な一帯だったのだ。
「総合食品 HIRAKAWA」「FRESH ぎんや」の文字が、看板に見える。
「ぎんやさん、今藤さん、丸井さん」と、室蘭の人々は、店舗の名前をさん付けで呼んでいた。
このデパートで家族連れが買い物客で賑わっていた姿を想像して、胸の締まる思いがする。
路地裏の世界
看板はたくさんあるが、店のシャッターは締まったまま。オープン前だから閉まっているという雰囲気ではない。
「地下街ランランタウン」
無数のスナックやら居酒屋が入る、地下街のようだ。
扉は鍵がされておらず、中へ入ることができた。
下へとのびる階段の奥は、漆黒の闇に包まれている。
得もしれぬ恐怖を感じ背筋が寒くなる。
味の一平
渋い建物を発見した。
左手はカメラショップだった名残が見える。
右手には「味の一平」とかかれた看板と入り口。料理屋だった場所だろう。
「更生相談所」の看板。
中央地区 暴力追放運動推進協議会。
荒くれ者がたくさん居たのだろうか。
「其の筋のお達しにより二十才未満の方の御入店固くお断り致します」
其の筋が地域を仕切っていた時代を思わせる看板である。
営業中の喫茶店
歩いていると、何件か営業中の喫茶店を見つけた。
「珈琲人(コイビト)」
営業はしているが、今日はもう閉店してしまっているようだ。
喫茶店めぐりが好きなので、入ってみたかった。
「カフェ 英国館」
窓から中を覗くと渋い内装で、純喫茶好きとしては中へ入りたかった。
アップルパイが有名なお店らしいが、時間の関係で断念。
「幕西遊郭」と「親なるもの断崖」
英国館の角を曲がり、測量山へ続く長い坂がある。
この一帯は幕西町と呼ばれ、かつて遊郭があった場所だ。
室蘭の歴史を調べている中で「親なるもの断崖」という作品を見つけ、これを読んでみた。
今から120年前。ロシアの南下政策に対抗すべく、北海道(蝦夷)で軍備を整える必要があった日本帝国。
未開の地に家を建て、道を作る男たちに向けて女郎屋が作られると、
明治28年、政府公認の「幕西遊郭」が誕生。
その後、昭和33年の売春防止法まで存在していた。
「親なるもの断崖」は、幕西遊郭を舞台にした4人の女性の物語である。
室蘭の悲しい歴史が描かれたコミック。
訪れる前に目を通す事をお勧めする。
室蘭の古い建物
インターネットを回遊していると、幕西町の貴重な写真を見つけた。
幕西遊郭にあった「旅館 ふみ野」。
当時の雰囲気の一端がわかる建物である。
現在は駐車場になっている。(写真参照:きのこ屋のHP)
昭和時代の室蘭を以下のサイトでも鑑賞できる。
ほとんどの建物は、壊されていて現存していない。
■ 昔の室蘭の写真(前編)
■ 昔の室蘭の写真(後編)
室蘭の町を振り返る
私は人の少ない寂れた町が好きだ。
人が集まる場所は、お金を集めや大衆に傾向した街並みになり、個性が無くなってくる。
都市化された街よりも、やはり地方が面白い。
地方は歴史を感じる建築物や個人の思いを感じれるのが良い。
人口減少により、町は廃れる一方である。
しかしお金にならない場所は開発の手が入らず、古い貴重な建物や街並みを残してくれる側面もある。
おしまい
記事に何度も葛西とありますが、葛西(かさい)ではなく幕西(まくにし)です。訂正してください。
公開してから6年間、どなたからも指摘を受けず気付きませんでした。
お恥ずかしい限りです。
葛西→幕西へ修正させていただきました。
ご指摘感謝いたします!