昭和レトロ放浪記

古い街並み・純喫茶・ノスタルジーな世界を求めて

島根県

【島根県の純喫茶】日東紅茶ティーパーラーと焼きスパゲッティ

【島根県の純喫茶】日東紅茶ティーパーラーと焼きスパゲッティ

車で日本を周遊している中、私は山陰地方の島根県を訪れた。
出雲大社や石見銀山の観光をしながら、古き良き歴史に漂う渋みを感じ、この土地を気に入りはじめていた。

この地方にきっと良い純喫茶があるに違いない、とレトロ臭を嗅いでいると、ツイッター経由でおすすめのお店を紹介してくれる人が現れた。さっそく私は、鼻息を荒くしながら、浜田駅へ車を走らせる事にした。

昭和42年(1967年)創業、50年以上続く純喫茶「日東紅茶ティーパーラー」を訪れた旅行記をお送りする。

島根県・浜田駅周辺

車を駅近のコインパーキングに停め、浜田駅周辺を歩いてみる。
「銀天街 どんちっちタウン」の看板が目に飛び込んでくる。
どんちっち“とは、神楽の囃子(はやし)の事であるが、石見神楽を全体を表す言葉であるらしい。

この周辺の商店街がなんとも渋い。



撮影した写真をたくさん紹介したいところだが、スペースの関係で割愛する。
わたしは駅前に戻り、本来の目的である純喫茶へ戻る。

日東紅茶ティーパーラー

駅のロータリーに面した角地に、地味すぎず派手すぎない佇まいの店がある。
「日東紅茶ティーパーラー」である。


店の正面には「日東紅茶ティーパーラー」の看板と「伊津商店」の看板が。
丸みを帯びた窓枠がすばらしい。

入り口前には、ショーウィンドウ。
スパゲティやカレーがある。お昼はここで済ませていこう。

純喫茶に入る前、私はそれなりに緊張する。
チェーン店のカフェより、店主との距離が近く、ある程度のコミュニケーションを求められるからだ。
わたしは、初対面が得意ではないため、緊張することが多い。

さあ、意を決して店の中に入ってみる。

ティーパーラーの内装

と、その前に玄関扉のガラスに、店名が書かれている。
朝7時から夜7時まで。結構長い営業時間ではないか。

扉を押し開けると、店内はちょうど良い広さの喫茶店。
窓際に4つのテーブル席が用意してある。

一つはテーブルゲーム筐体。昭和レトロ純喫茶の代名詞感。

テーブルは、8席と、カウンターに2席。

ランチは鉄板焼きスパゲティ

私の来店と同時に4人のサラリーマンが客として入っていたので、奥の壁際にある一人席用のテーブルに腰を下ろした。
椅子とテーブルの隙間も狭く、他テーブルとの距離も近く、少し窮屈ではあったが、このサイズ感がまた昭和レトロではないか。

品の良い女性マスターにオススメを聞くと、スパゲッティとの返答。
さっそく注文して出てきたのは、鉄板の上に卵とミートソーススパゲティが焼かれたもの。
長旅で疲れた体に、染み渡るようだ。
ぺろりと平らげてしまった。

壁には歴史ある写真

店にいたサラリーマンが居なくなり、私は女主人に話しかけ、店内の写真撮影の許可を得る事に成功した。
じっくりと店内の撮影をさせてもらう。


奥の壁を見ると、古い白黒の写真があった。
かつて浜田駅周辺には「道分山」が鎮座し、これが街の開発を阻害していた。
昭和45年に山を切り開いて宅地開発が行われ、現在の商店街が誕生した。

白黒の写真には、ティーパーラーの背後にある大きな山があった時代を写している。

ティーパーラーの2階へ

女主人の勧めで、現在は使われていない2階へ上がらせてもらえる事に。

ソファやテーブルなど年季は入っているが、清潔で今でも現役で使える雰囲気。

チューリップ型の照明。

ぎっしり並べられた漫画。サラリーマン金太郎やサザンアイズ。

2階の窓からは、浜田駅とロータリーが一望できる。

「日東紅茶ティーパーラー」を振り返る

昭和の時を止めた素晴らしい純喫茶を夢中で撮影していると、女性主人が控えめに声をかけてきた。
「撮影した写真を欲しいのだけど・・」と。
もちろん、撮らせて頂いている立場であり喜んで私はそれに応じた。

後日、印刷した写真を郵送で送ると、丁寧な文面でお礼の手紙まで頂いた。
遠く知らない地方都市の、知らないお店で、ぬくもりのある交流で繋がることができた。
そして島根県浜田という土地に思い入れができた瞬間だった。

営業している間に、もう一度訪れることが出来るだろうか。

おしまい

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